先生~あなたに届くまで~


静かな廊下に出る。
自分の足音が響く。

先生の言葉が何度も頭を巡っていた。

“教師として
 頼りにしてくれるのは嬉しい”

私が欲張らなければいい。
そうすればもう傷つかない。

なのに涙は止まらない。
心は全く言うことをきかない。

ドアの開く音が廊下に響いた。

走ってくる足音が聞こえる。


「せんせい?」

そう振り向こうとした瞬間...



ドンッ...



後ろから抱きしめられていた。



息ができない。
頭が真っ白になる。

ただ背中や腕から
先生の温もりが伝わってくる。

ぎゅっと腕に力が込められて
私は息もしづらいのに
このまま時間が止まって欲しいと願った。

小さな声で先生が何か呟いたような
気がして「えっ?」と
声を出そうとした瞬間...


「悪い。」


そう背中から小さい声が聞こえる。
そして温もりはすっと消えた。

静かに後ろを振り向くと
下を向いたままの先生がいた。


「せん...せい?」

声を絞り出すように囁いた。

だけど先生は下を向いたまま
こちらを見ようとはしない。