「ふーん…で、本当にドキドキする相手はいるの?」



真子からの鋭い質問に、体がビクッと揺れた。



「いや…いないよ?」


「ほんと~?」

「ほんと!」



目の端に移った坂井くん。それだけでドキッとしたけど…
この気持ちは、まだ秘密。だって恥ずかしいし、確信が持てないから。



2人は不満そうな顔をしていたけど、いずれ話すよっと言うと、我慢してくれた。

さすが、親友だ。



それに、ちょうどチャイムが鳴って、授業が始まった。
2時間目は大嫌いな数学だ。



――――――
―――
「もうすぐ期末テストだが、勉強はしてるか?」



先生の声にシーンと静まり返る教室。

聞こえるのはジーっという蝉の声と、冷房の音。もうすぐ夏休み、その前に大嫌いな期末テスト。



「数学は赤点者が多いから、補習が嫌なら死ぬ気で勉強しろよ!」



ギクッと体が揺れた。
なんせ私は、赤点の当事者だから。