王子様と甘い生活


「芽依、私たちは何やればいーの?」

「2年はプール内の掃除だから、このモップ使ってくれる?」



そう言って、真子と坂井くんにモップを渡した。
私は悠真と備品の確認をする。



「ビート板60枚、タオル80枚…悠真」

「んー?」



ビート板を数える優真が、こっちを見ずに返事をした。



「さっきの人が、好きな人?」

「そーだよ。」



即答か…。
ほんとに好きなんだ。振られても振られてもアタックするんだもんね。



「かっ、かわいい人だね!」

「ははっ、まぁ強いけどね。いろいろと」



先輩の話をする悠真は、楽しそうで胸がずきっとした。
遠くに感じる悠真。



「芽依?どーした?」

「あっ…ううん、何でもない。」



心配されるのも、今はつらくて、私はタオルを数えることに集中した。



「ゆーま!何まじめに仕事してんだよ!」

「うわっ、つめて!やめろって!」



隣のクラスの男子が、悠真に水をかける。
あぁーあ…絶対どこまで数えたか忘れちゃったでしょ。



「おーい、水流すぞぉ!」



プールサイドに立つ先生が、声をかける。