「それより、俺と話してて良いの?」
「えっ…何で?」
「勘違い、されない?」
そう言って、坂井くんがちらっと悠真を見る。
「えぇ!?」
「ほら、吉沢さんってわかりやすい。」
そう言って、坂井くんは意地悪く笑う。
「そっ、そんなんじゃないから、勘違いしないで!」
そう言って、私は坂井くんから離れた。
何で気付かれてるの?
私ってそんなにわかりやすいの?
しかもよりにもよって、坂井くんって!
はぁぁ…最悪。
「芽依」
「へっ?」
落ち込む私の後ろには、にやっと怪しく笑う真子が立っていた。
「なっ、何?」
私はビクビクしながら、荷物をまとめはじめた。
「私に話してないこと、あるよね?」
身に覚えがありすぎて、ギクッと体が震える。
「ほらほら…吐いちゃいな?それとも今日は拷も…尋問かな?」
今、拷問って言いかけたよね!?
真子の話術は並大抵のものじゃない。きっと拷問されたら、同居のことまで言ってしまう。
「きょっ、今日は約束があるから!じゃあね。」
そう言って、私はカバンをつかみ教室を飛び出した。
予定があるのは本当だし、今はまだ話せない。
私は、未来くんの待つ玄関まで走っていった。

