『悠真が先輩に告白したらしい。』



そんな噂が、私の耳に届くには時間がかからなかった。



「すごいねー!好きになった次の日に告白するなんて、悠真っぽいよね。」



真子が感心したように言う。
確かに、悠真らしい。



「で、告白は上手くいったの?」



陽菜の言葉に真子が首を振る。



「それがさー、その先輩1回付き合うって言ったのに、やっぱり無理って振ったらしいよ?」

「えぇ、何それ!」



その言葉を聞いて、心に黒い何かが湧き上がる。
1度付き合ったのに、振ったってどういうこと?
その先輩、どんな人なの!?



「芽依!」



突然、悠真に名前を呼ばれてビクッとした。



「なっ、何?」

「今日、来週のプール掃除のメンバー決めよう。」

「あっ、わかった。」



それだけ言うと、悠真は教室から出て行った。



「振られたのに元気なんだね。」



陽菜が安心したように言うと、真子が笑った。



「ああやって、休み時間ごとに出掛けるのも先輩にアタックしに行ってるんだって。」

「すごっ、さすが悠真。ねっ、芽依。…芽依?」



陽菜が心配そうに顔をのぞき込んできて、はっとした。