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「芽依!委員会行こ。」
「うん、ちょっと待って。」
放課後になり、委員会に行くために荷物をまとめる。
よしっ、あとはロッカーに体育着をしまってっと…
「吉沢さん」
「えっ…?」
名前を呼ばれて振り向くと、坂井くんが立っていた。
「さっ、坂井くん!」
「手、出して」
「えっ?」
「良いから早く」
坂井くんに急かされて、びくびくしながら手を出す。
なっ…何?
「父さんが渡し忘れたって。」
ちゃりんっと音が鳴って、手のひらに冷たいものがのった。
手を見ると、星や鈴のチャームがついた鍵がのっていた。
「えっ…鍵?」
「それじゃあね。」
それだけ言うと、坂井くんはスタスタと教室から出ていった。
ほんっと、家でもないけど、学校ではさらに愛想がない。
「芽依、どうかしたかー?」
悠真に呼ばれて、急いで鍵をポケットにしまう。
「ううん、何でもない。今いくね。」
鍵についた鈴が、優しくりんっと鳴った。

