「そんなくだらないことが聞きたかったの?」
「えっ…」
坂井くんは、学校ではクールで有名。
こんな風に、冷たく突き放すから、この人が苦手なんだ。
私は、自然と彼を睨みかえしていた。
坂井くんは私の顔を見て、一瞬驚いた顔をしたけど、突然にやっと口角を上げた。
「でも、そうだな。」
「えっ?」
「黙ってて欲しいなら、“口止め料”もらおうかな?」
そう言って、さっきの冷たい表情から打って変わってにっこりと微笑んだ。
でも、その笑顔はとても意地悪で…。
どんどん近づいてくる坂井くんの顔。
ちょっ…口止め料ってまさか…!
「さっ、坂井くん!」
そう言ってぎゅっと目をつぶると、坂井くんがぷっと笑った。
「なんてね。安心してよ、誰にも言うつもりないから。」
そう言うと、坂井くんは部屋からさっさと出ていった。
なっ…
なんだったの!?
なんとなく、苦手だと思っていた坂井くん。
でも今日、それが確信となった。
やっぱりこの人とは、仲良くなんてなれそうにない。
だいたい、学校とのキャラが違うじゃない!
冷たいクール王子が一瞬で変態王子になった瞬間だった。

