そこは…もう使われていない小さな教会。 俺と柚だけが知る、秘密基地的存在。 ドアも開いているし、誰かが駆け込んだ跡もある。 「…ゆず?」 俺がそう呟いた瞬間、雷の音が再び響いた。 「ひっ…」 一番前の机から、小さな泣き声が聞こえる。 そっと寄ると、小さく踞っている柚がいた。 「柚」 「よう、ちゃん…」 俺はそっとしゃがみ込むと同時に、雷の音が響いた。 「ゃっ…」 柚は涙でぐしゃぐしゃな顔のまま、俺の胸に飛び込んだ。 小さく震えてる柚をそっと抱きしめながらも、柚の隣に座った。