三年前。

中学三年、秋。















[今日も遅くなります]





無機質な言葉。

と共に置いてあるのは一万札。





ただ広いだけの家。

ただ広いだけのリビング。









「紫織さん」


「なにー?」


「旦那さまと奥様は今晩、」


「メモ見たでっ、ありがとう」


「…はい」








わざとテンションを上げて、お手伝いさんに笑顔を見せる。

お金も一応手に取って。







共働きの両親。

家になんて、全然いない。








「ほなおやすみっ」


「お、おやすみなさい」









パパとママが嫌いなわけじゃない。

お金が嫌いなわけじゃない。





ただ少し、切ないだけ。









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