シュエラの探す魔術師の所在は、すぐに知ることができた。
もとより魔術師は市井に紛れる者ではなく、近くの食堂で朝食がてら店の者に訪ねるとすぐに家のある場所を教えてくれた。
親切な店員が細かく道を説明してくれたのだが、マリの複雑な街路は易々とはアナたちを目的地に辿り着かせなかった。
同じ道を行きつ戻りつしながら道を尋ねた数人目、今にも倒壊しそうな長屋の軒先に座り込んだ老人が、シュエラの顔を指差した。
キョトンとするシュエラに老人は「そこ」としわがれた声を発する。
シュエラが振り返ると、指し示した先、長屋の向かいにこれまた古びた小さな建物があった。
「ここが…」
アナが安堵のため息をつきながら建物を見上げた時、老人がのんびりと付け足した。
「大分前に出てったよ。ヒルゼスタに帰るって」
