寝台にうつ伏せに倒れた体勢はすぐに苦しくなって、アナは寝返りをうとうとした。
しかし上衣の下に提げた腰袋が動きを妨げて、アナはのろのろと起き上がりそれを外す。
その腰袋はアナが欠片を大事そうに握り締めていたのを見ていたシュエラが、欠片を肌身離さずに持てるようにとくれた物だった。
布越しに欠片に触れながら考える。
(叔父さんには、この欠片を捨てるよう言われたけど…。
あの幻のような声は、見つけて、と言っていた。
もしもシュエラが探すべき人だったとしたら。
あたしはどうしたらいいんだろう…)
欠片を捨てるために村を出たけれど、今になってアナは自分がどうするべきかわからず途方にくれていた。
あの欠片で見た幻の女性は『世界を助けて』とアナに言った。
それほどの重大な代物を捨ててしまったらどうなるのだろう?
しかし捨てずにいて、ダリルのような人間に奪われてしまったら?
考えれば考えるほど、自分がとんでもないものを手にしてしまったのだと思い知らされる。