アナは急いで、床の上でほのかに光を放っている欠片を拾い上げる。


なぜシュエラがアナの鞄からこれを取り出し手に持っていたのか。

なぜ歌ったのか。自分の声が何かを起こすとわかっていたのならなおさら…。

疑問に思うことが次々浮かぶ。

アナは欠片を自分の手の中に包み込みながら、

「あの、どうしてこれを?」

と率直に聞いた。

シュエラはアナの手の中のものを見ると、少し怯えるように身を引いた。

『か、勝手に触ったりしてすみません。鞄を持って行こうとして、そうしたら中で何かが光っていたのでつい…』

シュエラが心底すまなそうに理由を言う声を聞きながら、アナは自分がこの欠片を拾ったときにも光ったことを思い出した。

普段もぼんやりとは光っているが、包んだ布どころか鞄からもれるほどには強い光を放ったりはしない。