――ぼんやりとした意識のままアナがうっすらと目を開けたとき、そこには暗い天井があった。

辺りは薄暗く、アナはずいぶん早朝に目が覚めたなぁ、などと考えていた。

しばらくとろりとした目で天井を眺めていたが、部屋の仄明るい光はランタンのものだと気がついた。

アナは夜、ランタンを点けたままにしておくことはない――。


「!?」

アナはそこではっと覚醒し、頭を少し持ち上げて視線をめぐらせた。

すぐに近くの机の上に置かれた小さなランタンが目に入る。

アナは眠っていたこの部屋が自分の部屋でないことに気がついた。木戸のついた窓も、天井や壁の様子もまったく違う。

(──ここはどこ?あたし、どうして…)

慌てて身体を起こすと、するりと掛けられていた毛布が肌をすべる。

そこではじめて自分の上衣どころか何も着ていないことに気いた。

暖かな布団がかけられてはいたが、アナは羞恥と驚愕に絶句する。

慌てて上掛けを身体に巻きつける。
混乱しながらも記憶は徐々に甦り、獣に襲われて川に落ちたのだろうところまで思い出した。