「む、無理ぃ~~~っ」
「へぇ…じゃあ、柏木は僕よりも、むさ苦しい男連中に抱きついてネクタイ結びたいんだ」
「え、違っ」
むさ苦しい男連中って…。
偏見ありまくりだし。
「じゃあ出来るよね?」
ジッ…と、責めるような目で見られる。
強調しておくけど、私たちは今、お姫様だっこの状態なんだよ!!
よって超至近距離。
私が大宮くんに逆らえるわけもなく…。
意を決して、嫌々ネクタイを受け取ると目を瞑って挑む。
気分は、戦国時代の"出陣じゃ~~~っ"って感じ。
頭の中でヴォォォーってホラ貝の音が聞こえるし、ね…。
目を瞑っているため、何処に顔があるのかわからない。
仕方なく薄眼を開けてみると、私の顔を凝視する大宮くんの綺麗な顔が目に映る。
「なんでそんなに私の顔見てるの~~~っ!!」
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