「那智様っ、もうペアは決まりまして?!」
私と王子の席の隣で、鼻息荒く、目がギラギラさせて王子に詰めよる一人の女の子。
そしてそれを取り巻くたくさんの女生徒。
「まだだけど」
「でしたら!! わたくし、立候補いたしますわっ」
「……。」
どうしよう…どうやって断ろう…って思ってるのが思いっきり顔に出てる王子。
可哀想。
「ぴよこ、見ちゃだめだぞ。
目を合わせたら巻き込まれるんだ」
隼人くんの言う"ぴよこ"とは、私の事らしい。
…どうして私はいつもヒヨコなのっ。
「私の名前は"雛姫"なの。
ぴぃでもぴよこでもない!!」
「知ってる。いいじゃん、可愛いよ、ぴよこ」
「会長! 今ですっ」
「あ、王子ピンチ?」
私と隼人くんが痴話喧嘩しているうちに、王子はピンチに陥ったみたいで。
ちぃちゃんの声で振り向くと、王子は女子数人がかりで取り押さえられていて、さっきの女の子が王子の胸元に手を伸ばして…。
