極甘王子はいかが?



「ちぃっ」


前から声がして目をやると、焦げ茶色の髪の知的男子。

…コレ?


「…ゴメン、ひな、ハズレ」

「ハズレって、オイッ!!

つかなぁ、置いてくなよ!!

家の前でずっと待ってたのに、出てこないから…。
心配してインターフォン鳴らしたらおばさんが出て、『あら、もう出たわよ?』って言われた時の俺のキモチを返せ!!」


ドンマイだ…。

しかも、おばさんのセリフ、すっごい成りきってる…。


「だって、アンタと来たら女子がうるさいのよ。
隼人は女子の王子様その2だし。」


王子って言った瞬間、冷たくなる"隼人くん"の周りの空気。


「俺、王子ってガラじゃないんだけど」

「ソレはあたしがよく知ってるわよ」

「だろーな」


苦笑しながら教卓へと向かい、座席表を見る隼人くん。


「ちぃ、お前俺の左隣だよな?」

「そうよ、っていうかあんた、何時になったら挨拶するつもり?」

「あ、オハヨウ」

「そうじゃなくって!! ヒナちゃんに、よっ!!」