極甘王子はいかが?


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クラス表を見る為に玄関横の掲示板に向かうも、あまりの人の多さに圧倒される。

あの人ごみに入っていく勇気ないなぁー。


重力に負けて、成長が止まって早数年。

154センチというミニマムな私には、みんなの熱気が恐ろしい。


「ねぇ、クラス表見て来てあげようか?」


声を掛けてくれたのは黒髪ミディアムの美人さんで、私よりも10センチ以上背が高い。

……羨ましい。

しかも、彼女から伝わる"姉御(あねご)"オーラがすっごくカッコイイ。


「お、お願いしやすッ」


噛んでしまった…。


「ん、了解。やっぱかわゆいなー。私の目に狂いはなかった!!
あ、名前教えてくれる?」

「柏木雛姫です。貴女は…?」

「あたしは百瀬千夏(ももせ ちなつ)。
みんなからはちぃちゃんって呼ばれてるから、ソレで呼んで? 
あと、敬語はナシ!タメだし。
雛姫ちゃんはヒナって呼んでいい?」

「うんっ」


良かった、呼び名がぴよちゃんとかじゃなくって。

家でも学校でも呼ばれたら堪んないもんね。


「見てくるから、ヒナはここで待っててね」

「了解っ」