極甘王子はいかが?



「…? どうして、そんなこと思うの?」


高2の夏から付き合いだしたお姉ちゃんたちは、ちょこちょこ家デートと称して家に遊びに来ていた。

そりゃあ、男の子は苦手だったけど、私に無理がないようにって心掛けながら接してくれて、すっごく助かったし…。

実際、とっても可愛がってもらっている自覚がある。

一番仲の良い異性はお義兄ちゃんと言っても過言ではない。



「あぁ見えて壱臣、結構気にしてたからさぁ」


ひなに呼んでもらえなかったの、寂しかったみたい。と続けるお姉ちゃんに唖然とする。

そんな仕草、ちょっともなかったのに。


「だから、ちゃんと"呼んで"あげて?

恋人とか、そういう種類じゃないけど…ヤツは愛に飢えてるのよ。

子供の頃とか、一人っ子だったせいもあってずっと一人ぼっちだったらしいし」


呼ぶだけで喜ぶんだもん、安いもん、でしょ?

ふふふ、と微笑むお姉ちゃんを見て、ふと…





数年後は、こう、お姉ちゃんのようになれるのかと考えた。



なりたいと思った。






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