俺は決してあの出来事を忘れることはない。


あの出来事がなければ俺は夢をあきらめていた。


漫画家を目指し俺は日々漫画を書いては出版社に持っていった。


でもなかなか採用されない。


親からの仕送りで暮らしていた俺は、このままじゃダメだと思いある日決心した。


最後に切り札として書いていた漫画を出版社に持って行きダメだったらあきらめると。


「よろしくお願いします!」


いつもとは違う緊張で俺は漫画を担当者に差し出した。


しばらくの沈黙。


漫画をパラパラめくる音だけがしている。


担当者が口を開く。


「ダメだね。もう少し面白い漫画は書けないのか?」


終わった・・・。


俺の漫画家人生はこの日をもって幕を閉ざした。


コンビニでアルバイト雑誌を買い家に帰る。


家に帰ると真っ先に漫画をゴミ箱に捨ててアルバイト雑誌を広げ、その中から俺は警備員を選んだ。


給料もいいし、何より正社員になれるかもしれない。


早速電話をして働くことになった。


しかも明日からで大きなデパートの警備。


人生の再出発にわくわくしながら眠りに着いた。