秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*


「ふっふっ…そうかそうか。十九になったか。……もうすぐで私の息子だなぁ楓くんや」


「え…いや…」


ところで父様は…本当にあたし達を結婚させるつもりなんだろうか?

そりゃあ確かに、かっくんなら藤峰家を継ぐ者としてふさわしいと思う。

当主となるのは、唯一の嫡子であるあたしだけど、会社を継ぐのはあたしと結婚した相手と決まっている。

実質ウチを動かすのはその人だ。


故に、結婚相手に求められるのは器量。

人としての器の大きさ。

それでなきゃ、世界のトップには立てない。

こう見えて父様だって、本当はすごくやるときはやる人なんだ。

じゃなきゃ今頃、日本、フランスを中心に、世界の経済は崩れているだろう。


それに父様はかっくんを妙に気に入っているし、「息子がほしい」と常々言っていた。

本気…かもしれないけど…ねぇ?


「それよりまお、顔色がよくなったな。表情が明るい。やっぱり楓くんパワーか…ふっ。おとおさんさみしいっ」


あらやだ。

なに言っちゃってるのよ~♪

父様がかっくんが来れるように計らってくれたんでしょ?


「あ、そうそうそれとー…」


「ん?」


落ち込んだ風を見せた父様だったけど、すぐに思い出したように胸ポケットを探り出した。


「ちょっとおいで真裕やい」


「?」


ちょこちょこ寄ってみると、ペンを差し出された。


「名前書いて」


「なまえ?」