「お断りします」


「はやッ!! 即答!? 一秒も考えてないよね!?」


考える必要もない。

そんなめんどくさいこと…誰がするか。

それに、真裕が帰ってくるのを待っててやらなきゃなんねーし。

そもそもめんどくさいし。


「めんどくさいって今の声に出てたよ星野くんや」


「……」


「そうか…残念だな」


明らかに気落ちした様子で、ハア~…と長いため息をこぼす外国人の男。

まるでどっかの誰かさんみたいに、人差し指でやたら高級そうなソファを刺していた。


「“彼女”とさらに君が来てくれれば、ウチも安泰かと思ったのになぁ…」


「彼女…?」


何気なしに聞き返してしまうと。


「えっっ! 興味持ってくれた?」


がばっと頭を上げて嬉しそうに言われる。


「いや…別に…」


「ウチねー、一昔前までは確かに、ここ宝院と並び称されるほどの力はあったんだよ。でも最近質が落ちてきてねぇ…」


「はあ…」


ぶっちゃけ興味ないんだが。


…このときそう言わず、流されるままに聞いておいてよかったと本当に思う。

おかげで……。