秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*


「あ~んっ! だから言ったのにぃ…。かっくん~…」


はあ…? また“かっくん”かよ?

なんなんだよ一体。

さっきまでの『藤峰真裕』はどこに行った?


拍子抜けせずにはいられない。

それほどに寂しそうで子供みたいな表情で、切れた弦をつつくマヒロだった。


「くくくっ…」


抑えているような笑い声に振り向くと、あのマヒロと仲良さげだった五人組の一人だった。

アイツも日系か…。


『……ハッ…。…す、すばらしい演奏でした。さすがはマヒロさんね! これ以上ない模範になりました』


呆けていた講師が我に返ったように手を叩いた。

それにつられるように、室内が拍手で湧き上がった。


「……ええー…。どうしろと…?」


そんななかでも、なぜかマヒロの声は俺によく聞こえた。

透明な声をしているからだろうか。


『さ、席に戻って』


促されてようやくほっとした顔をし、戻ってきた。

それから先はもう……授業なぞにはならなかった。



『マヒロ! あなたやっぱりさすがね。すんごいわ!』


『リジュ』


『いや~俺は知ってたよ。君の素晴らしすぁあ!? いってぇ…ハディのバカ…。俺まだセクハラ発言してないのに…』


『する気だったことが問題なのよ』


あの五人組から始まり、教室中がマヒロに詰め寄った。