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「ウィーンに行くですって!?」
「うん」
「ウィーンってあれか? オーストリアのか? …ウィーンっていう街とかじゃのーて?」
いや…そんな街、聞いたことないけどね。うん。
ケイン――先生の息子、ケインが去ってからすぐに、待ち構えていたかのようにしゅっちゃん達が現れた。
本当はまだ言うまいと思ったんだけど……。
蓮くんが…ね。
『……そのメモなに?』
『で!? 落ちとるがね!?』
『英語? …なになに、えー…』
『ああ~~んっ読まないでっ』
…とまあ、先生の手紙が見つかって……あれよあれよという間に吐かされた、みたいな。
「マエストロに子供がいたのも、病気抱えてたのも驚きだけど……」
「つかもう、何に驚いてええんか分からんわ」
ただ呆然とする二人。
蓮くんは、あたしの後ろに座っている(はずの)かっくんを見つめているみたいだった。
あたし……かっくんを振り返れない。
自分であんなにそばにいてって言ったくせに、たった一瞬で決めてしまった。
それも…二年間もなのに。

