――楓サイド――


―ピーンポーン



四月中旬。

いい加減寒さなどどこぞに吹っ飛びきってしまった頃。

訪問を知らせるチャイムが鳴った。


「はいはいは~い」


妙にテンション高く出て行ったお袋。

しばらく後……。


「きゃあ~! なにこれ!」


「?」


悲鳴に近い叫び声が聞こえ、玄関に顔を出してみた。


「どうし…………え"」


な……なんだそれ。


「毎度、ありがとうございやしたー」


ぺこりと頭を下げて帰っていったあの男は、この荷物の大きさになんとも思わなかったんだろうか。

どうやって運んできたんだこれ。


「あらやだ。かえくん宛てよこれー。…んまっ! 国際郵便じゃないどこから?」


国際…? いやいや。

海外に知り合いは…いた。

今いたわそういえば。

まさか…?


「んん~? ……フランス…? パリからよ! まあやだフジミネ…藤峰ですって!」


パリ?

待て待て真裕は今ウィーンで…。

てことはその“藤峰”ってもしや…。