秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*


『楽器は持ってないの? 天才少女が使うバイオリン見てみたいわ』


『今日は持ってないの。それに大したものじゃないよ』


そんな大それた人間じゃないものあたし。

天才とかおこがましい。それはかっくんのためにある言葉だよ。

だってだって超すごくて超すてきで超かっこいいんだもんっ❤


「まあ確かに“超すごくて超すてきで超かっこいい”よね。ムカつくくらいにさ」


「うんうんホントムカつくくら……日本語!?」


え!? 今どっから声した?

空耳? 空耳ですか?


きょときょとあたりを見回しても、日本人らしき人はどこにもいない。


……?


「どこ見てんのさ」


「へっ……」


うしろ?


くるっと振り返ると……日系の男の子?

でも……日本人ではない…ね。

そっか。なにも日本語だからって日本人とは限らないんだっけ。


「ふーん。君が藤峰真裕か。なんかどっかのアイドルみたいだね」


「え? あいとる? …開いとる? どこが? チャックが?」


「……」


???

どこも開いてないよ。


「ハア……」


「?」