――真裕サイド――
「Ach! Bist du Mahiro? Eine Sache von das so Fujimines!」
「Ich bin schrecklich! Ich bin echt」
「Schüttle Hände! Es ist ein Fächer!」
……???
え…っと。
「わっかんねー……」
な、なに言ってるのかさっぱりなんですが。
あたし、ホントにドイツ語と英語は早口じゃ分かんないんだよ。
キラキラ目を輝かせて押し寄せてくる人達。
ぺらぺらと何かを必死に喋ってるんだけど、生憎と通じていない。
もうこっちに来て一週間が経つのに!
今日から学校だから、それまでの間になるたけ勉強したのにドイツ語!
なのにぜんっっっぜん分かんないっ。
「えっとーあの…Bitte rede langsam」
(ゆっくり喋ってください)
…で、合ってたかな?
『ああ、ごめんね。…そうよね、あなた日本人だったわね!』
『しかし、可愛らしいんだな。五年前と印象が変わらない』
『失礼よみなさん! この方は藤峰家のご令嬢なのよ』
『あ…そ、そうよね。ごめんなさい』
『へ…あ、いえあの…いいんです大丈夫です』
…喋りはゆっくりになっても、相変わらずマシンガントークなのね…。
あはは。付いていけねー。

