しばらく歩いていくと、いわゆる職員室というやつや理事長室がある階に降りた。
まっすぐ目指しているのは、どうも応接室だ。
「こちらです。さ、入って」
「…?」
僅かに眉をしかめて、ノックもせずに扉に手をかけた。
「やあ、君がカエデか。いや、噂に違わずいい男だ!」
「は……」
入るなり……どう見ても外国人の男にいきなり手を掴まれ、ぶんぶん振り回しながら言われた。
当然といえば当然、ぽかんとしてしまうわけで…。
「う~んいい男だ。いやほんとに!」
「だろう? だが彼はそれだけじゃない。私が今まで見てきた誰よりもすばらしい音楽を持っている」
「ああ、そうだろうね。目を見れば分かるよ」
何気に初めて会った理事長らしき男性と、笑顔で話しだしたその男。
いつの間にか岬先生は消えていた。
「あの…」
いい加減、黙って突っ立っているのもおかしい。
どちらともなく声をかけてみた。
「ああ、すまないすまない。忘れていたよ」
忘れてじゃねぇよ。
呼んだのお前じゃねーのかよ。
あり得ねぇなこのオヤジ。
「君に、少し話があるんだ――」

