秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*


思わずぽつんと呟いて、屋敷の玄関を出た…らば。


「やあ。来てくれると信じていたよ」


「……は?」


今しがた会いたくないと思っていた人に。

いきなり会ってしまった。


「肇…様」


「優しいんだね。使用人を使わずにわざわざ届けてくれるなんて」


「いえ…。これ、肇様のものでしたか。では…」


…持ってきたくて持ってきたわけじゃないやいっ。

しかも……わざとだね?

わざと置いてきやがったわね?


「ああ、待ちたまえ」


「……なんでしょう?」


くるりと踵を返したあたしの着物のそでをがっしと掴む。

一瞬思わず眉をしかめたが、愛想笑いで振り返った。


「君……あの男と離縁する気、ほんとーにないのかね?」


「は?」


あの男…と離縁?

ってかっくんのこと? なに馬鹿なこと言ってるのこの人。


「いーえぇ。愛していますので❤」


これ見よがしにそう言うと、やんわりとそでを掴まれていた手を離す。


「では、失礼しますね」


にっこり笑って言うと、しゃなりしゃなりと家の中に舞い戻っ…。


―しゃかしゃかしゃか


舞い…戻…。

…らせろよ。