――楓サイド――
「……い。おーい?」
「…………あ?」
ああ…俺か。
なんだ?
「おんまえなにぼさっとしとんねん?」
「別に」
考えごとくらいしてもいいだろ。
「あ、分かったー! 真緒がいないから寂しいんだ❤」
「……」
「お? 図星? 図星っ?」
違う……とは言い切れないかもしれないこともない。
うっとうしいと実際思ったことはないものの、はたから見ればうっとうしいくらいに纏わりついてくるのがいないっていうのは確かに妙な感じだ。
ふとした瞬間、いつも真裕がぴったりくっついていた自分の右側に視線を落としてしまったり。
眠るときに、腕に真裕を抱いていないのが妙に落ち着かなかったり。
腰かけていて、膝が軽いのが不思議な感覚に思えたり。
……そうしてもう一週間だ。
自分でも驚いた。
まさかここまで溺れていたとは思わなかった。
そこにいるのが当たり前になるというのは怖い。
「なんかないの? 電話とかさ、手紙とかさ」
「花梨…。真緒ちゃんが国際電話一人でかけられると思う? 手紙書くっていう頭が働くと思う?」
「…………無理だわね」
…そのとおり。

