秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*



「真裕様? 真裕お嬢様、出発のお時間ですが……どちらに? お嬢様~」


……はっ…。


野木さんの呼ぶ声に我に返り、慌ててかっくんから離れた。


「じ……じゃあ行ってくるね、かっくん…」


不安さは拭い切れないものの、なんとか目を見てそう言えた。

かっくんは柔らかく笑って、あたしの頬を指で撫でる。


「……ああ」


そう答えてくれたかっくんに自然と笑いかけ、きょろきょろとあたしを探しているらしい二人のもとへ向かった。




「あらお嬢様、そちらに? …あら? 星野様は…」


「うん。行こ」


「…?」


きょとんと首を傾げる坂本さんに抱かれている梨音。

まったく同じポーズをしてたので、ちょっと可笑しかった。


「おいで、梨音…」


言いながら両手を伸ばすと、かっくんの匂いがするのか……嬉しそうに飛び込んできた。


「梨音もさみしいね。しばらくお別れだねぇ」


「くうん」


「…ね」


ちら…っとかっくんのいる方を振り返ったけど、坂本さんに促されてすぐに機内に乗り込んだ。




かっくん…行ってくるね、かっくん――。