秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*


――楓サイド――


『マヒロマヒロ、違うのよ。これをね、こう突っ込むの』


『えっ……タオル濡れちゃう』


『いいのよ。これはタオルじゃなくて、濡らすためのぞーきん。分かる?』


『分かんない』


当たり前だわな。

真裕が掃除なんてことをするわけがない。

まして雑巾なんか見たことも聞いたこともあるとは思えない。


『これをー濡らしてー、汚れを拭くの。やってみる?』


『やってみる!』


楽しそうに頷いて、メイリーから絞ったそれを受け取り、壁をちまちま拭き出した。

真剣そのものの表情ながらも、ほんの数センチほどしか取れていないあたりが…。


『可愛い…マヒロ…』


「……」


『……ハッ…!? カカカカエデの気持ちを代弁っ…』


「……」


アッシュは。

誰かに似ている気がする。

アホさ加減は間違いなく修平。

でもこのごまかし方は完全に花梨のような…。

世の中案外狭ェ。


真裕はそんな世の中を渡り続けてきて、これからもやっていくんだろう。

だからか? あのシビアさは。

理由がなければしない。意味のないことに時間は費やさない。

もっと有効に使う術を探すべき。

そういう考えに思う。

実際あんなでかい家を動かそうと思ったら、白黒はっきりしてなきゃなんねーんだろうし…。