「…いきなし帰ってきても女の子いない?」
「いねーよバカ。なんの心配してんだ」
いや、定番のセリフかなと思って。
一応言ってみた。
「ぎゅうしてほしくなって帰ってきてもいい?」
「ああ。いいよ」
「……」
う……。
「やっぱりやだよ~かっくん!」
怖いよ。不安だよ。
かっくんに初めて会ってからこっち、パリでのあの時くらいしか離れたことがない。
あたしもう、かっくんの温もりがなきゃ寝られない。
安心できないよ…。
「……!」
ぽろぽろ涙を流しながらかっくんの胸に頭を寄せるあたし。
そんなあたしの顎をクッと掴み上を向かせ、噛みしめた唇に、かっくんのそれが優しく触れた。
きゅっ…と胸が締め付けられる。
寂しさ…不安からなのか。
それとも……優しすぎるキスのせい?
それでも、心は落ち着いていくのが分かった。
「大丈夫だから。安心して行ってこい」
―大丈夫だから……。
…なんでだろう。
その一言で、あたし、本当に大丈夫なように思えた。

