秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*


「…いきなし帰ってきても女の子いない?」


「いねーよバカ。なんの心配してんだ」


いや、定番のセリフかなと思って。

一応言ってみた。


「ぎゅうしてほしくなって帰ってきてもいい?」


「ああ。いいよ」


「……」


う……。


「やっぱりやだよ~かっくん!」


怖いよ。不安だよ。

かっくんに初めて会ってからこっち、パリでのあの時くらいしか離れたことがない。

あたしもう、かっくんの温もりがなきゃ寝られない。

安心できないよ…。


「……!」


ぽろぽろ涙を流しながらかっくんの胸に頭を寄せるあたし。

そんなあたしの顎をクッと掴み上を向かせ、噛みしめた唇に、かっくんのそれが優しく触れた。


きゅっ…と胸が締め付けられる。

寂しさ…不安からなのか。

それとも……優しすぎるキスのせい?


それでも、心は落ち着いていくのが分かった。



「大丈夫だから。安心して行ってこい」



―大丈夫だから……。



…なんでだろう。

その一言で、あたし、本当に大丈夫なように思えた。