まっっったくしよーがないっ。
しよーーーー……がない人だなぁ。
「お前に言われるとは終わりだな」
「……」
なんですかその。
あたしがしよーがないみたいなさ。
「お嬢様、お荷物はこちらだけですか？ …あらっ。お久しぶりです星野様！」
坂本さんはたった今かっくんに気付いたよう。
軽く会釈するかっくんも、苦笑いだった。
「今回もご一緒で…？ あら…お一人と聞いた気が…」
「一人だお」
かっくんはここまで一緒に来てくれただけ。
ああ…これに乗っちゃったらもう、会えないんだ…。
一瞬でブルーなったあたしを、かっくんが建物のかげに連れて行った。
「？ かっくん？ …かっ…」
！
「……いつでも帰ってこい」
「……」
「来れなきゃ俺が行ってやる」
「……」
かっくん……。
…決意はしたけれど。
背中を押されて、決心はついていたけれど。
それでもやっぱり拭えなかった寂しさ。
あなたにはそれが、お見通しだったんだね。
