「偶然日本にいた誰かがお前のことを恨むなり憎むなりしてて、偶然お前の正体を知ってしまった。そして偶然ウィーンにも同じようなやつがいて偶然お前があの学校に通っていることを知った…」


…へ?

か、かっくん?


「もしくは隠すなりなんなりしたそのバイオリンが偶然真裕のものだった」


「…あの…?」


「……そう考えるよりは、同一犯だと考える方が可能性は高いように思うが」


……た、確かに。

続く“偶然”は“必然”だものね。

でもじゃあ…。


「なんでそこまで嫌われてるんでしょう…」


日本から追っかけてきたとすればそれ、相当だよね?

あたしってそんなにムカつくやつですか…?


「まあ……お前極めて芸能人とかに近い存在だし。そういうやつもいるんじゃねぇの?」


「そ、そうなの…?」


「まあ大概は妬みだと思うけど」


ねたみ?

ねた…み?


「?」


「理解しろとは言わねェ。せめてその怪訝そうな顔はやめろ」


はい。


「…で? まおのバイオリンどこ?」


「俺が知ってりゃ最初から苦労ねぇだろが」


それもそだ。

でもだって……あれあたしんの!

ずっと使ってるあたしんの!