「…?」


そうじゃ…なくて?


「去年の引き裂きの真犯人とか。机の落書きとか」


「…!」


そっ……。


「……そういえばそんなことあったっけ…」


あれも十分ショックだったけど、さらなるショックが続いて忘れかけてたよ…。

ご、ごめんね先生。

先生のこと忘れたわけじゃないんだよなんせ強烈な息子が近くにいるから。


「いや…でも待って。それがなに? だって関係なくない…?」


「そうとは限らない」


「え…」


「考えてもみろ? お前が日本にいたとき、そのことを知っていてなおかつ“武藤真緒”が藤峰真裕だということまで知っていたんだ」


「う、うん…?」


「その上で世間に明かすこともなく悪質な嫌がらせを続けていた」


そ…そういえば。

藤峰真裕は日本にいますよーつってバラしてしまうこともできたんだ。知ってたんだもんね?

なんでしなかったんだろ…。


「だったら…“そいつ”がここまで来ててもおかしくない。……かもしれない」


そ、それって……。


「それってやっぱり……まおすんげー嫌われてる…?」


「かもな」


……うっそんなんで。