実はこの部屋には、今朝からみんなの楽器がそれぞれの席に置いてある。
当然、あたしやかっくんのもあるわけで…。
そしてあたしの席はかっくんの隣(ぶんどった)。
前から二番目で、今目に入ったんだけど……。
「…?」
バイオリン……一つしか、なくない…?
勝手に入っていいのかな…と思いつつも、気になって足を踏み入れた。
「お邪魔しまーす…」
そろそろと自分の席に歩み寄って、ぴたりと足を止めた。
…いや。正確には……止まった。
「……」
…なんで……あたしのバイオリン、ないの…?
―ダッ
確かに置いたはずのものがそこにないのを確認してその瞬間。
床を蹴ってどどどどどっと走り出した。
不思議なことに、行きはあれだけ迷った道順も、帰りはスムーズに教室まで辿り着いた。
…やっぱりあたしって、やればできる子じゃないっ?
…とかなんとか言ってる場合じゃねーのよ!!
―ばあんっ
「ユウキ!!」
もう授業が始まっているであろう教室に、勢いよく飛び込んだ。

