あれ…そなの?


「オーストリアは…ドイツ語圏だな」


「ドイツ? なーんだ、若干わかる」


ホント若干ね。

聞き取りが辛うじてね。

まあケインは英語が話せるし……大丈夫かな?


「真裕様! 真裕お嬢様っ!」


「ん?」


日本にたった一つの藤峰家のヘリポートに着いた頃、見覚えのある女の人がぶんぶん片手を振っていた。

坂本さんだ!


「坂本さあぁあぁぁん!」


びゅっと駆け寄って、そのままの勢いで抱きついた。


「お久しぶりでございますお嬢様。お電話で一度お声を聞いて以来…。坂本は坂本は心配でなりませんでしたわっ」


「大丈夫だよーほら。ね?」


「はい! 元気なお姿を見て安心いたしました」


ニコニコ笑ってくれる坂本さんを見て、安心した。

この人が一緒にいてくれるんだもん。大丈夫!


「お嬢様、あちらへの着地はいかがいたしましょう? どこか場所を借りましょうか。それとも別荘のほうにつけましょうか?」


「ウィーンに別荘なんてあったっけ」


「はい。建設予定だったのですが、ウィーンにお住まいになられるということでピッチを上げて作らせたそうです。出来上がっております」


そおなんだ。

そういうことするのは父様だね?

父様の仕業だね?