それから修平が帰ってくるまでの数十分というもの、全く離れようとせずに若干困った。
いや、別に引っ付いてくるのが嫌なわけじゃない。
むしろそれはこう…大歓迎っつーか。
そうでなくて。
そこに蓮二と花梨がいるということが大問題。
よりにもよってこの二人。
アホな修平ならともかく、めんどくさい二人がいれば…。
「ねえねえねえねえほんっとーにちゅう❤まで?」
「?」
「真緒こっちに来ない?」
「や」
「や~んフラれたぁ❤」
「?」
……訂正しようか。
面倒なのは花梨一人だ。
「いいわねぇいいわねぇ。あたしも彼氏ほしいな~。でもいい男って意外といないよね」
「かっくんすてき❤」
「あら。でもかっくんはまおのでしょ」
「うん。まおの」
そう言ってさらにぎゅむっと抱きついてくる。
なんつーか…。
皮肉なことに、この面倒なやつ(ら)がいるおかげで俺は全てにおいて留まっている。
二人きりだったらもう…あれだな。間違いない。
「…『ああ、なんて可愛いんだ俺の真裕。いっそ食べちゃいたい』…」
「……」

