秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*


それから修平が帰ってくるまでの数十分というもの、全く離れようとせずに若干困った。

いや、別に引っ付いてくるのが嫌なわけじゃない。

むしろそれはこう…大歓迎っつーか。


そうでなくて。


そこに蓮二と花梨がいるということが大問題。

よりにもよってこの二人。

アホな修平ならともかく、めんどくさい二人がいれば…。


「ねえねえねえねえほんっとーにちゅう❤まで?」


「?」


「真緒こっちに来ない?」


「や」


「や~んフラれたぁ❤」


「?」


……訂正しようか。

面倒なのは花梨一人だ。


「いいわねぇいいわねぇ。あたしも彼氏ほしいな~。でもいい男って意外といないよね」


「かっくんすてき❤」


「あら。でもかっくんはまおのでしょ」


「うん。まおの」


そう言ってさらにぎゅむっと抱きついてくる。


なんつーか…。

皮肉なことに、この面倒なやつ(ら)がいるおかげで俺は全てにおいて留まっている。

二人きりだったらもう…あれだな。間違いない。


「…『ああ、なんて可愛いんだ俺の真裕。いっそ食べちゃいたい』…」


「……」