…それから一時間…。

りんりん達はかっくんに追い出されるようにして帰っていった。

まあ理由の一つとして、あたしが疲れてしまったからっていうのもあるけど。


帰り際のりんりんは面白かった。


「真緒っっ。あたしいつでもどこでも参上するからねっ!? なんかあったら呼んでね!?」


「う、うん」


参上って。

参上ってお嬢さん。

ぷくくっ。


思い出してくすくす笑いながらベッドでゴロゴロするあたしを、かっくんはヘンなものを見るような目で見ていた。

うん。相変わらず失礼っ。


あたしはというと、意外と元気は戻っていた。

不思議と後悔というものはなく…。

確かに、もう少し早ければと思ったりもしたけれど。

それよりも、会いたいという気持ちが強くって、それ以外に何も思わない。

思い出して辛くなったり、時々涙が出たり。

一週間くらい眠れなかったし、食欲も出なかった。

そういうことはあったけど、だいぶ持ち直してきた方だ。


なんだかすべて…かっくんのおかげなような気がするんだ。

あの日からずっと泊めてもらってるあたしのそばには、いつもかっくんがついていた。

気が付いたら隣にいるの。

不安になったとき、気が付いたら抱きしめててくれるの。

こういうときに頼れる相手……受け止めてくれる相手がいるというのはとても心強い。


「まーおちゃん」


じっとかっくんの後姿を見つめていたあたしに突如声がかかった。

彼の次にあたしを支えてくれていた人だ。


「ママ」