“おかあさん”という言葉にピクリと反応し、目線だけをこちらに向ける。
「…ほら」
小さな箱とメッセージカードを差し出す。
しばらくそれを見つめると、ゆっくりと手を伸ばしてきた。
「……」
「そちらも預かっていました。間に合わなかったときは渡してくれと…」
「……」
ゆっくりと開いたメッセージカード。
そこに書かれていたのは、やがて十九になるであろう娘へ向けた、母からの言葉だった。
――十九歳おめでとう。
もしかしてもっと早くに受け取っていたら、ごめんね。
見届けたかったな。
…真裕、幸せになってね。母より――
…そして箱の中身は指輪だった。
「……」
「…『私が洋平にプロポーズされたときにもらったの』と、嬉しそうに仰っていましたよ。いずれ結婚するであろう貴女様へと…」
そうか…。
あれだけ世界中に発表したんだ。
いくら何でも知らないわけはあるまい。
俺との婚約を……知ってのことか…。
「まひ……。!」
「助けてかっくん…! 怖いよ。痛いよ。助けて…!!」
真裕…。
「真裕……」

