秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*


――楓サイド――


あれから二時間ほどだろうか。

今は、日本に向かう機内。

もう夕方を過ぎていたし、真裕はいつもなら寝ていてもおかしくはない。

でも…さすがに今日はそうもいかず、今にも泣きだしそうな顔でうつむいて、震える手でしがみついてきていた。


『あまり気を張り詰めるな』


何度そう言おうと思ったことか。

だが今は、何を言っても無駄だろう。

気休めにもならない言葉をかけるより、委ねてくる体を…心を、ただ抱きしめてやることしか、俺にはできない。


「…喉…かわいた…」


「ああ…飲むか?」


ふと呟いた一言。

すぐそこにあったコップを手に取って、差し出した。


そのコップを受け取った真裕の手は危うく揺れていて、思わず手を添えた。


「……?」


…気のせいか?

震えが……止まったような…。


「かっくん……」


「あ? ああ…」


「ずっと、このままがいい…」


「……ああ」


手を握っているだけで少しでも不安が安らぐなら。

やっぱり俺は、黙って抱きしめていてやろう。


「ああ…」


…頼む。無事でいてくれよ…。

これ以上こいつが悲しむことは…ない。