「……」
…声が出なかった。
喉が乾ききってしまったよう。
体中が縛り付けられているよう。
まるで夢の中のように、あたしの意識と体が一致してないように思えた。
「…じゃあ……お母さん……は…」
「まだ大丈夫だ。ただ…」
…ただ…。
「危篤状態だそうだ」
―ガシャーンッ
「真裕…!」
「真裕!」
「っ……!」
事実……事実…!
一年前の報道は、事実…!
お母さんが……病気…?
危篤…状態…!
「真裕…」
カタカタと震えて、ただ涙だけを流すあたしを、かっくんが抱きしめた。
割れたカップの欠片で切った手。
そこから流れ出る血さえも、まるであたしのものじゃないようだ。
きっと、夢。
悪い夢なんだ。
必死でそう、言い聞かせるように心の中で何度もつぶやいた。

