…出発は来週。
野木さんと坂本さんが「ずぇっっったいに行きます!!」…ってものすごい形相で言ってきたから、家の飛行機で一緒に行くことにした。
なんでも、かっくん達もいないし…「お嬢様一人で行かせるわけには参りませんわっ」だって。
それはもう怖かったよ。勢いが。
「そういえばかっくん、その手に持ってるのはなあに?」
「あ? ああ…琥珀の飯。梨音のと一緒にしていいだろ」
「ああうんうん。いいんじゃない?」
あの子ったら贅沢……い、いや。
グルメさんで、梨音が食べてるやつじゃいやっていうの。
でも梨音は、琥珀が好きなやつはいやっていうの。
だから別々。面倒な子達……い、いやいや。
「あ~んもう疲れたぁ! もういいや。全部テキトーに詰め込んじゃえ」
後で要らないもの捨てればいいよね。
めんどくさくなっちゃったよ。
「あらじゃあこれもね❤」
「いや、それは着ないから」
分かってるものは持ってかないよ。
首をすくめ、その辺に転がってる服やらなんやらを、手当たり次第突っ込んだ。
「あ、そおだ。かっくんの部屋にぶらじゃーが。取ってきて❤」
「いや、なんで」
「だってね、せんたくしてみたんだけどそのあとどうしていいか分かんなくて…置いといたの。かっくん来ないからさ」
「いやそうじゃなくて、そういうものは自分で取りに行けよ」
「ええ~っ。はぁい」

