秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*


…出発は来週。

野木さんと坂本さんが「ずぇっっったいに行きます!!」…ってものすごい形相で言ってきたから、家の飛行機で一緒に行くことにした。

なんでも、かっくん達もいないし…「お嬢様一人で行かせるわけには参りませんわっ」だって。

それはもう怖かったよ。勢いが。


「そういえばかっくん、その手に持ってるのはなあに?」


「あ? ああ…琥珀の飯。梨音のと一緒にしていいだろ」


「ああうんうん。いいんじゃない?」


あの子ったら贅沢……い、いや。

グルメさんで、梨音が食べてるやつじゃいやっていうの。

でも梨音は、琥珀が好きなやつはいやっていうの。

だから別々。面倒な子達……い、いやいや。


「あ~んもう疲れたぁ! もういいや。全部テキトーに詰め込んじゃえ」


後で要らないもの捨てればいいよね。

めんどくさくなっちゃったよ。


「あらじゃあこれもね❤」


「いや、それは着ないから」


分かってるものは持ってかないよ。


首をすくめ、その辺に転がってる服やらなんやらを、手当たり次第突っ込んだ。


「あ、そおだ。かっくんの部屋にぶらじゃーが。取ってきて❤」


「いや、なんで」


「だってね、せんたくしてみたんだけどそのあとどうしていいか分かんなくて…置いといたの。かっくん来ないからさ」


「いやそうじゃなくて、そういうものは自分で取りに行けよ」


「ええ~っ。はぁい」