―――……


『と、いうわけで。ちょっと遅れてしまいましたが、もう一人日本から素晴らしい生徒が入ってくれました』


朝会みたいなときに、かっくんがそう紹介された。

クラス中の女の子達の目は完全に逝っていた。

ちょっとむっとしたあたしは、特別に与えてもらった隣の席という武器を活かし、妙に距離が近いために届く腕に自分の腕を絡めた。

ぴとっとくっついて、ハートの目で見てる女の子達をちろっと睨んでみたり。


『理事長からの直々のスカウトでいらしてくれた星野楓くんですよ。みなさん、くれぐれも好きになってはいけませんよかっこいいけど』


『そういえば、あなた達婚約してるそうね!』


『あの衝撃の発表、去年だったよなー』


『実物見るとショック受けると思ってたけど、お似合いすぎて文句言えないわ~』


???

ま、前に言いましたけど…あたし、早口じゃ分かんないんだったら。

かっくんに教わってるくらいなんだお!?


「なんて言ってるの?」


「お前が気にするようなことじゃねーよ」


「ふーん…」


かっくんがそう言うなら…いいけど。


深く考えずに納得し、絡めていた腕を離した。

同時に、前に座ってるメイリーがくるっと振り返る。


『ね、やっぱり人気ねあなたの彼。…見てよこれ。ここらじゃ有名な一流雑誌だけど、もう載ってるわよ』


『え?』


雑誌?


首を傾げながら、差し出されたそれに目を落とした。