「し、しました」


『んでなんて言った!?』


「えっと……結婚したそうですって言った気がする」


『誰がッッ』


「まおとかっくん」


『……』


…あ、またこの沈黙。

なんか…予感では、切れそうな気がするよまた。

聞かなかったことにしようみたいな空気でさ。


―ぶつっ


…ほらね。


「お嬢様、そろそろ着きますが…」


「あ、そう?」


ほんじゃ……電源、切っときましょうかね。学校だものね。ぐふっ。


「顔が怪しい」


「怪しい!?」


え、かっくんに言われるとなにやらすごくショックなんですが。

そんなヘンな顔してました?


「あの…お、お嬢様? 到着いたしましたが…な、なにをなさってるので」


「なっなにも!? あああありがとう。帰りはいいからねっ」


身を乗り出して鏡を覗き込んでたら、野木さんがものすごーーく引いた声で言ってきた。

慌てて弁解し、車を飛び出した。


「行こかっくん。早く!」


「荷物持って行けよ…」