「そうだな…あえて理由をつけるならば」


「…?」


どーんっと胸を張って父様が言った次の台詞はこうだった。


「私の娘に手を出したバツだいっ」


「……」

「……」


『だいっ』ってあんた。

いい歳したおっさんがなに言ってんのよ。


「…お言葉ですが……まだ手は出してないんですけど」


「同じことだいっ。……え!? 出してないの!?」


わ、二度見した。

かっくんのこと、二度見した。


「そっ……それじゃあその…えーと……。ま、まあ似たようなもんだっじゃあな!」


「あっ! 逃げた…」


途端に慌てだしたかと思うと、父様は逃げるように飛び出していった。


「……」

「……」


あたし達に残されたのは、呆然と沈黙だった。


「…えー……その…」


と、とりあえず…!


「ご、ごめんなさい」


ほんっと、思いっきり巻き込まれてるだけだよね…かっくん。

ああ…なんであたしの父様はあの人なんだろう…ハア。