臆病者ノ唄






スリーポイントラインから、二歩ほど後方。



普通に打てば、10本に1本も成功しない距離だったが『入れる』それしか頭になかった。



俺の手から放たれたボールは大きなこを描いて、ゴールへと突き進んだ。



前半終了のブザーが鳴る。



「はいれぇぇぇぇ!」



ボールはリングに触れる事なくゴールネットを揺らした。



パサッ



時が止まったような、沈黙を渇いた音が切り裂き、一瞬の沈黙。