臆病者ノ唄






俺がベンチに引き上げるなり、コーチは俺の胸ぐらを掴んだ。



「どうして、ファールをしねぇ?」



「…必要ありません、完全に押さえ込んでいます。」



「…チッ」



コーチは不機嫌そうにベンチに腰掛け、自分がかけたタイムアウトだっていうのに、そのまま黙り込んだ。



俺はこれ以上こんなやつを相手にしても仕方がないと思い、チームの皆に声をかけた。



「皆、絶対勝てるぞ!」



「気持ちを切らさず、一気に逆転だ!」



「オオオォォォォ!」



チームの盛り上がりは最高潮だった。