あたしが目を泳がせてると、


「アンタってこういうの読むんだ。面白い」


そう言って笑った。


…でもその笑いは馬鹿にしてるって感じじゃなくて…


何て言ったらいいか分からないけど…


悪い意味で笑ってるようには見えなかった。


…そ、それにしても…は、恥ずかしい…


多分今、あたし顔赤いと思う…


「素敵な恋…したいの?」


颯くんが頭に、はてなを浮かべてるような顔つきで聞いてきた。


「…こ、これは…」


「ん?」


「…な、なんとなく…読んでみてるだけ…」


あたりはそれだけ言ってその場から移動して別の場所に座った。


別に颯くんから逃げてるとかじゃなくて、ただ恥ずかしいだけ。


こんな本読んでるとこみられて…


恥ずかしくないわけない…。


だって、『素敵な恋をする為に…』とか…


正に早く彼氏欲しいみたいな感じじゃん…


おそるおそる颯くんの方を見ると、もう冬真くんと一緒に図書室から出て行く所だった。


颯くん…


怒ってるかな…あたしが素っ気ない態度とっちゃったから…