「何でそんなに機嫌が悪いんだよ」
「うるせ―――…」
俺がそう言うと零は途中で言葉を止めた。
「どうした?」
「…アンタには…関係ないだろ…」
そう言って零は窓の方を見た。
「何だ?どうしたんだよ、何でそんなに機嫌悪いんだよ」
「……」
「言ってみろよ。ほら、人に話すと気が少しは楽になるかもしれねぇだろ?」
俺がそう言うと零はしばらく黙った後、ゆっくり俺に顔を向けた。
「何で機嫌悪いんだよ?」
俺がもう一回そう聞くと零はゆっくり口を開いた。
「……彼氏に…振られた……」
「振られた?お前が?」
「……」
零は黙って頷いた。
「あぁ~…もったいないな、その彼氏」
「…は?」
「性格はともかく、顔は普通に可愛いのにな?」
俺がそう言いかけると零の顔つきが変わった。
さっきまでキツイ表情だったのが今は少し穏やかで頬がほんのり染まってる。
「な、何言ってんの、アンタ……」
「え、何って可愛いって。本当の事言っただけだよ?」

